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魔女狩りで5人の女性が村人からリンチされ、死亡 ― 鉄の棒、石、ナタ、斬首…残酷なインドの実態

インドの台頭が目覚ましい――。エリート教育が盛んで、今や押しも押されもせぬIT大国となったインドだが、それらの輝かしい印象とは相反する闇の側面があるのもまた事実である。例えば、インドの全世帯の半数以上にはトイレが無く、人々は屋外で用を足す。また、子どもや女性への暴行は後を絶たず、顔に硫酸を浴びせるアシッド・アタックなど含む悲惨な事件が相次いでいる。そしてまた、インド中部に位置するジャールカンド州キンジア村で悲しい事件が発生した。

■魔女と決め付けられ殺された5人の女性

 今月初め、ジャールカンド州のキンジア村に住む5人の女性が数十人の村人から「魔女」と決め付けられ、家から引きずり出されたあげく鉄の棒、石、ナイフで殺されるという事件が起きた。ジャールカンド州警察の広報官であるS・N・プラハン氏は、「村人たちは長い間、被害者の女性たちが村に災難をもたらしていると恨みを抱いていたようでした」と言う。警察は45歳から50歳の男たち50人が、この事件に関連したと見て逮捕した。しかし彼らは、「村人全員でやった」と示し合わせた供述をしていると言う。
 ジャールカンド州最高長官であるラグバー・ダス氏は、「今の時代に、このような事件が起こった事は非常に悲しい。社会はこれについて熟考する必要がある」と声明を出した。

■魔女狩りの実態
 インドにはスンダルダル県、バリパーダ県、ケーンドゥジャル県、サンバルプル県のように少数民族が多く住む地域があり、そこには魔術や迷信がはびこっている。そしてそれらの土地では、揉め事や災難の原因は魔術であるとされ、無実の女性を「魔女」と非難する事で問題を解決しようとする。そのようにして「魔女」とされた女性が焼かれたり、殺されるケースは数多い。
 北東部のアッサム州の村では、63歳の女性が村に呪いをかけていると非難され、ナタを振り回した村人たちにより斬首された事件も起きた。またケーンドゥジャル県では、家族6人が「魔術を使っている」と疑われ、村人たちによって夫婦と幼い子供まで殺された。襲撃した男たちの一人は被害者の兄弟だったという報道もある。

 インド国家の犯罪記録局によれば、2013年には魔女狩りに関する殺人事件(ほとんどの被害者は女性)が160件、2012年には119件発生したという。これらを受け、ジャールカンド州を含むいくつかのインドの州は、「魔女狩り」を無くすための特別な法律を作ったようだ。

■魔女狩りの背景
 なぜ、現代のインドでこのような「魔女狩り」がよく起きるのだろうか?
 前出の5人の女性が殺された事件では、犠牲者の娘の1人が「母はカツラをかぶっていたが、そのカツラは子供を犠牲にして作ったものだと村人は信じていたようだ」と話した。また一家6人が襲われた事件では、村に呪術師がいて医者の真似事をしていた。しかし殺された夫は村の呪術師を信じず、子供が病気になれば遠くの病院に連れて行き、学校にも通わせていた。このように過疎の村では「人と違う事をする」、「子供に教育を受けさせる」など、普通は何ら問題にならないような事から「魔女」の烙印を押されてしまうようだ。

 オリッサ州合理主義社会の実現を唱える「オリッサ・レイショナリスト・ソサエティ(Odisha Rationalist Society)」のデベンドラ・サター氏は、少数民族が住む過疎地から迷信を無くすための活動を行っている。そして彼女は、政府はもっと過疎地の教育や経済の発展に目を向ける必要があると力説する。「貧しい地域の人々は病気になっても医療を受けられないため、迷信を信じるのです。また彼らには教育の機会もありません。政府が彼らに学校や医療施設を与えない限り、状況は変わらないと思います」と語る。

 インドで起きている「魔女狩り」は、まるで中世の魔女狩りのようだ。村人から嫉妬や反感をかうと、いつの間にか「魔女」と呼ばれ、夜いきなり村人に襲撃されるのだ。貧困や教育を受ける機会の不足、医療体制の遅れがこのような事件の根底にあるのは間違いないだろう。インドは広大な国だ。貧富の差も激しく、あくまでも富める者は裕福だが、貧しい者は極めて貧しい。インドの過疎地の人々にも、IT大国の輝きが差し込むことを願いたい。

TOCANA

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