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201510/7

【閲覧注意】横顔を失った男 ― 3Dプリンタによる顔面再生の奇跡

2013年、腫瘍摘出手術のために顔の左半分を失った男性が、3Dプリンタを使って顔面を再生させた。飲食はおろか、ほとんど話をすることさえ不可能だった悲劇的状態からの顔面再生術の成功は、イギリス初の快挙となった。詳細についてお伝えしよう。


■チタン製の骨組みとシリコン製のマスクによって、日常生活を取り戻すことに成功

 2009年、イギリス・エセックス州にあるレストランの支配人として働くエリック・モーガン氏は、婚約者へのプロポーズにも成功し、幸せの真っ只中にいた。しかしその半年後、人生を一変させる病魔に襲われてしまう。顔の大きさを変えるほどの腫瘍が、急激に形成されてしまったのだ。モーガン氏は扁桃上皮ガンと診断され、緊急の摘出手術を受けることになった。

 命を救うための手術とはいえ、テニスボール大の腫瘍に加え、左眼球から左頬骨、左上顎に至る広範囲にわたる摘出により、モーガン氏は顔面の左半分を完全に失い、そこには巨大な穴が残されてしまった。

 手術後のモーガン氏は、言葉を話すために手で顔の穴を塞がなければならず、物を食べたり飲んだりすることもできず、胃に直接繋がれたチューブによって栄養補給することを余儀なくされた。生きながらえたとはいえ、彼の生活は一変し、精神的な落ち込みもひどかったという。そして、顔の左半分がないまま4年の月日が流れた。

 そんな苦しい生活に転機が訪れたのは、2013年のこと。彼は婚約者のカレンとイギリス「チャンネル4」の番組「Embarrassing Bodies(恥ずかしい身体)」に出演し、番組のクリスチャン・ジェッセン医師とともに、ロンドンのアンドリュー・ダーウッド歯科医に顔面再生術を依頼したのだ。

依頼を受けたダーウッド歯科医は、最新のスキャンニング技術を用いて、モーガン氏の残された顔面を詳細に3Dスキャニングすることから始めた。治療プランは、右半分の鏡像データを左半分の形成に利用するという大胆なものだった。

 そして、モーガン氏の残された右側の上顎に、3Dミリングと呼ばれる技術で形成されたネジ状の棒(チタン製、約7センチ)が埋め込まれた。さらに、これを土台として、プラスティックで作られた失われた部分の上顎がはめ込まれる。今では一般的になったが、顎の骨にチタンの土台を埋めて義歯をはめ込むインプラントの大掛かりなものと考えれば想像しやすいだろう。これによりモーガン氏には新しい口ができ、食べ物や飲み物が顔面に空いた穴からこぼれることもなくなった。

 次は、顔面の穴を覆うシリコンマスクだ。残された右半分の鏡像となる左半分の顔面データを用意し、それを元に3Dプリンタで作成された。できあがったマスク状の装具は、磁石によって顔面に取り付けられ、就寝時などには取り外すこともできるようになっている。これら上顎のインプラントと装具によって、モーガン氏は飲食や会話、それ以上に自分の顔そのものを取り戻すことに成功した。


 ガンの摘出によって救われた命と、それによって失われた顔の半分。大きく変えられてしまった人生を、モーガン氏はこれから取り戻そうとしている。「今では、鏡を見ることも恐ろしいことではなく、昔の友人と普通に会い、飲みに出かけることもできる」と語るモーガン氏。6年前に約束をした、婚約者カレンさんとの結婚も近いことであろう。



TOCANA

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