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【超・閲覧注意】「ブルーリ・アルサー」 ー 皮膚がただれ、肉が露出する“顧みられない”難病
「Buruli ulcer(ブルーリ・アルサー、ブルーリ潰瘍)」――耳慣れない言葉だが、これは西アフリカや中央アフリカをはじめ、世界数十カ国で年間5,000例以上の患者報告がある恐ろしい感染症の名前だ。由来は、ウガンダのブルーリ地方で「大きな皮膚潰瘍」患者が多数出現したことにある。その原因は抗酸菌の一種だが、感染経路は未だ不明。川や池の付近で暮らす住民に患者が多いことが知られており、ヒトからヒトへの感染は起きないとされる。では、ひとたびブルーリ潰瘍を発症すると、私たちの身体にはどのような異変が現れるのか?
重症化した患者の皮膚はただれ、完全に肉が露出している。初期は虫刺されにも似た症状を示すが、数週間をかけて潰瘍化、組織の壊死を伴いながら拡大していく。好発部位は四肢や顔面だが、菌が神経を侵すため実は痛みはほとんど感じないという。治療には抗生物質が用いられるが、重症化した場合には皮膚の移植も必要となる。
世界保健機関(WHO)は、ブルーリ潰瘍を「顧みられない熱帯病」と定義し、治療・研究に専念するとしている。どうやらアフリカ各国で重症化患者が出現する背景には、先進国ではほとんど患者がいないため、これまで世界の関心を集めることがなかったという事情もあるようだ。
日本人にとっても馴染みの薄い感染症かもしれないが、決して国内で報告が存在しないわけではない。1980年の19歳女性を皮切りに、以降2014年末までに53名の患者が確認されており、むしろ近年は増加傾向にあるという。後遺症を残さないためには、何よりも早期診断と治療が必要となるという。まだまだ未知の部分がある難病、ブルーリ潰瘍。研究の進展によって、感染の経路と予防策が一刻も早く判明することを願うしかない。
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