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電話泥棒(未確定)を市民が集団リンチ! ズボン脱がし、ハサミで切り裂き…=ペルー

ペルーのアンデス山中など警察の目が行き届かない僻地では、自衛のために住民が泥棒や不審者を自力で捕まえ、吊るし上げて晒したり、寄って集って暴行したり、といったリンチ(私刑)が依然として根強く残っている。
 だが、今回紹介するニュースは、警察署も裁判所もある大都市においてもまだ、そのような前時代的な悲劇が起きたというものだ。

■大都市で警備員がいる中繰り広げられたリンチ
 場所はインカ帝国の時代から栄え、街がユネスコ世界遺産にも指定されている人口100万人を擁するペルー第二の都市アレキパ。日本でいうと京都のような歴史ある大都市だ。事件はこのアレキパ市内にある何の変哲もない市場で起きた。

8月22日の朝、この市場に店を構える商店主が「携帯電話泥棒を捕まえた!」と中年の男女を捕らえたところから始まる。この時に駆けつけた野次馬がスマートフォンで撮影した動画が発端となりこの事件が明らかとなった。

 この動画を見れば状況は一目瞭然。周囲には市場の私設警備員を始め、様々な商店主や売り子、野次馬が容疑者と思われる男女を取り囲むように人垣を作っており、ズボンを脱がされてパンツ姿の容疑者とされる男性が、被害にあった商店主に棒で叩かれ、そしてその奥には同じく容疑者とされる女性が衣服をハサミで切り裂かれて下着姿を晒されている。その間、被害者側からはしきりに「盗んだものはどこに隠した!」というような詰問が続く。

もちろん、まだこの段階ではこの容疑者二名が本当の犯人であるかどうかも不明であり、被害者が容疑者を勝手に裁く権利もないが、周囲の警備員や野次馬がむしろそれを煽るように罵声を浴びせたりしている様子からも、彼等が日常的にスリや泥棒に遭っている鬱憤を容疑者にぶつけているような心情が垣間見れる。
新聞記事によると、このあと容疑者とされる二名は警察に保護され、正式に捜査が行われることになった、とされているが、実はこの事件のように都市部でのリンチも依然として日常的に行われていると考えられている。

■リンチの背景に未熟な司法制度
 その理由は、まず司法が信用されていないことだろう。もし泥棒を捕まえて警察に引き渡しても、少々の罰金と数日程度の収監で再び自由になるというケースが多く、個人の商店経営者にとっては「犯罪者が大手を振って街を歩いている」という状況が不満の種だ。
 また警察もスリや窃盗程度は日常茶飯事で軽く済まされるため、積もり積もった商店主らが「俺が裁く」と拳を振り上げる結果になったのも理解に難くない。日本でも万引きにキレた書店が万引き犯の写真を晒したりするような心情が、ここペルーでは暴力を伴った形で受容されていると考えれば理解しやすい。

TOCANA

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